Newsweek 3.14号

Newsweek3月13日号は、ポピュリストの特集です。

ポピュリズムとは

そう、「ポピュリスト」は昨今の世界情勢において、大きなキーワードになっていますよね。だから、この特集はなくてはならなかったと思います。私自身、彼らの政治姿勢に全く共感しないし、彼らが世界に更なる混乱を招くものと思っています。現に今「Mr. ポピュリスト」のトランプは米国内からも厳しい批判に晒されていますよね。そして怖いのは、ヨーロッパには非常に強力なポピュリストが沢山いるということです。フランスのルペンもそうですが、オランダのウィルダースも何かと話題をふりまいています。

彼らは本当に自分たちのやり方で未来を形成していけると信じているのでしょうか?大いに疑問なのですが、まずは個人個人にスポットを当てていきたいなぁと思います。私がニュースなどで知っているのは、今挙げたルペンとウィルダースくらいなもんで、そのほかにどんな人たちがいるのか、よく知りません。まずは彼らを知るところから始めようかな、と思います。

 

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【検証・世界のポピュリスト】

ここにポピュリストたちの図があります。

私が真っ先に思い浮かぶルペンとウィルダースは、極右の代表。彼らは国ではとてつもなく人気が高いのが凄く気になりますね。彼らは国民感情に寄り添うと謳い、人気を得ています。しかし、そのことが結果的に民族同士を分断しているので、彼らは間違いなくアンチ平和主義だと思います。

極右とは距離を置きつつ、過激な発言で国民の愛国心にひたすら訴えかける中道~右派。ここには、トルコのエルドアンやイタリアの元コメディアンなどが入ります。左派、つまり急進的な改革者を自称するものたちの代表は、私にとってはフィリピンのドゥテルテ大統領ですね。そのほか、エクアドルのレニン・モレノ氏なども人気が高いようですが、現代の傾向から見ると、極右系ポピュリストが世界の常識に変革を起こしていると思われます。

極右政党は、現在のところ、どの国でも野党です。しかし、この形成がどこかの国で逆転するかもしれません。オランダなんか、危ないような気がしますし、この間は危うく極右政党による与党が誕生しそうになりました。あ~怖い。今年は極右の人たちにとっては1つの節目の年になるだろうといわれていますが、さて、実際にはどんな年になるのでしょうか?

フランス マリーヌ・ルペン

親子二代で「国民戦線」を牽引。この記事によると、父のジャンマリ・ルペンもかつて大統領候補にまでなったことがあるそうですが、国民が極右大統領の誕生を恐れてジャック・シラクを選択。結局父ルペンは惨敗して党首の座を娘に譲りましたが、その娘もまた、大躍進を続けています。

ただ、彼女が4月の大統領選で勝つ見込みはないというのが、大筋です。それでも、油断はできません。私たちの多くは、11月7日まで、アメリカの大統領にはヒラリー・クリントンがなると信じていたわけですから。結果が予想から大幅にずれることは考えられます。

彼女はブレグジットを選択したイギリスのように、フランスも自国の利益を守るためにはEUから抜けるべきだと主張しています。それに、恐らく排他主義的政策も掲げているのでしょうね。ですから、国民にはまた慎重に考えてほしいです。今のアメリカが決していい方向には向かっていないのは明白だし、極右系を大統領に据えたらとんでもないことになる、と、きちんと自覚して投票してほしいです。全ては4月以降に明らかになるでしょう。

レジェップ・タイップ・エルドアン

「女性と男性を平等の地位に置くことは、自然の摂理に反する」と主張するエルドアン。これって、トランプと同じですよね。また、大のマスコミ嫌いも同じです。既存のメディアは自分たちの姿を歪曲して伝えていると信じきっており、エルドアンは自分を批判する新聞各社、テレビ局など130社を閉鎖に追い込みました。トランプも似たようなもので、政権に批判的なメディアを締め出しています。

エルドアンとトランプの最大の類似点は、「国家の復古」です。古き良きトルコorアメリカを取り戻そうじゃないか、というのが彼らの主張。因みに、ソ連復活を掲げているかのようなプーチンも、似ているような気がします。エルドアンはオスマン帝国時代の世界を圧倒した強さを再び取り戻したいと思っているようです。しかし、今はいち帝国だけが世界をリードするわけではない。それでも、強かった過去に未練があり、その時代に戻ろうとする人たちがいて、エルドアンはその代表なのではないかと思います。

オランダ・イギリス・ドイツ

ヘールト・ウィルダース

ナイジェル・ファラージュ

AfD

オランダ自由党のウィルダースは今では世界的に知名度を上げていますが、ブレグジット賛成派でイギリス独立党、ナイジェル・ファラージュ党首は、93年からEU脱退を目指しており、今やっと脚光を浴びています。しかし、彼は「目標を達成した」として、7月に党首を辞任しています。これから頑張らなきゃいけないのに、何を考えているんだか、わかりません。

ドイツのAfD(ドイツのための選択肢)は、2013年に反EUを掲げて結党されました。きっかけはギリシャ危機です。恐らく、ギリシャをEU全体が救済していかなくてはならないという論理、それと中東からの難民をEU全体で救済していかなくてはならない、という空気、こういった「連帯責任」を常に取らされることに、辟易したのでしょう

こういった反EUを掲げる国が目立つようになったのは、「アンタもEUなんだから」と押し付けられることに嫌気が差したからだと思います。

イタリア・スペイン・ギリシャ

五つ星運動

ポデモス

SYRIZA

こちらは左派系ポピュリストの皆様です。イタリアのコメディアン、ベッペ・グリッロはポピュリズムの観点から現存する政治家たちを常に攻撃。コメディアンとして活躍していたものの、やがて政治色の強い発言をするようになったことから、イタリアの放送協会から追放されました。しかし、彼は元からの熱心な活動家気質があったため、ここへ来て「五つ星運動」を結党。今イタリアは深刻な経済危機に陥っていますが、だからこそ政府を徹底的に攻撃し、いかなる政党とも連立を組まないという姿勢が共感をもたれているのだと思います。

スペインのポデモスは、財政の撤廃や福祉の充実、貧困家庭への手厚い保護など、左派的政策で人気急上昇中です。南ヨーロッパは特に経済状態が深刻だから、現政府を徹底攻撃し、国民に寄り添う姿を見せる左派に惹かれてしまうのでしょうね。それはギリシャのSYRIZAも同じだと思います。特にギリシャは経済破綻をし、若者の失業率は50%を越え、国民の中に不満が溜まりすぎた。そこへ、自分たちの不満を明確に言葉にしてくれる人が現れた、それだけで、救われた気持ちになったことでしょう。そんな中でSYRIZAは第一党になったのですが、現在は不振なよう。この先巻き返しが期待できるのかどうかは不明です。

オーストリア・ポーランド・ハンガリー

オーストリア自由党

ポーランド 法と正義

ハンガリー フィデス・ハンガリー市民連盟

中欧・東欧では、極右政党が躍進しているように思います。オーストリア自由党党首、ノルベルト・ホーファーは、その代表でありながら、大統領代行を務めたことがあり、先の大統領選では接戦の末敗れたものの、オーストリア国民に力強い印象を植え付けました。

ポーランドの「法と正義」は、厳密には極右ではありません。しかし、国民の愛国心に訴える、ナショナリズム色の濃い政党のようで、しばしば「ポピュリズム政党」とも評されているそうです。女性首相であるベアタ・シドゥウォがそのスポークスパーソンですが、実際には元首相のヤロスワフ・カチンスキが党を牽引しているといわれています。彼らのやり方は強引で、報道の自由を制限するなど、まるで社会主義時代に逆戻りしたかのようです。当然内外から批判が相次いでいます。しかし、EUはこの政党を重視しているそう。

ハンガリーでは、フィデス・ハンガリー同盟は、オルバン・ビクトル首相が牽引する右派政党です。彼らの国では難民が殺到したことにより混乱が起こり、首相が難民排斥的な政策を次々に打ち出しました。それが世界でどう見られようとも、ハンガリーの人たちにとっては好ましかったのかもしれません。今後も力をつけてくると思われます。ただ、特にEU脱退などは唱えていないようです。

スウェーデン・フィンランド・デンマーク

スウェーデン民主党

真正フィン人党

デンマーク国民党

北欧といえば、福祉の充実や寛容な難民への姿勢などから、しばしば「世界で最も理想的な国々」とも言われてきました。しかし、彼らの経済にも破綻の兆しが見えてきており、今決して穏やかとはいえない状況です。スウェーデンの民主党や真正フィン人党は極右職の強い政党であり、デンマーク国民党も、与党ではないにしても、最近は力をつけてきている右派政党です。「移民反対」がキーワードになることが多く、もうこれ以上、寛容な気持ちで移民を受け入れ続けられなくなっている、ということがはっきりと見て取れます。難民危機とはよく言われますが、北欧までも極右政党が人気を得るようになっているのですから、中東から欧州を目指す者たちにとっては、まさに致命的です。

南米・韓国・フィリピン

南米は、コロンビアで麻薬戦争が終結するなど明るいニュースもありつつ、基本的にはまだ発展しきっていないのが現状。そして、現体制を見てみると、左派政権が中心となり、反米思想を打ち出しているのが特徴。いわゆる「ピンクの潮流」という、完璧に共産主義(赤)に染まりきらずとも、緩やかな社会主義(ピンク)を目指そうという流れが主流です。南米各国は、苛烈な資本主義に辟易しているんでしょうね。

韓国では、先日朴槿恵大統領の罷免が決定しました。これを受けて次に誰が大統領になるか、注目が集まりますが、そんな中でひと際異彩を放っていると評判の政治家がいます。李在明氏。今流行りの人気取りスタイルかもしれませんが、彼もまた過激な発言で注目され、国民の心を掴んでいます。次期大統領は彼なのではないか、というもっぱらの噂です。

フィリピンでは、麻薬と果敢に戦うドゥテルテが今も人気が高いです。私のフィリピン人のマッサージ師さんが「彼のやっていることは、フィリピンにとって必要なこと」と言っていますから、彼の支持率の高さが伺えます。しかし、彼は「フィリピンのトランプ」ではありません。彼は宗教の融和を目指しているところがあり、決して排他主義ではないのです。但し、ここでは「過激な管理主義者」と表現されています。いずれにしても、左派政治家によく見られる傾向ですね。

 

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【ポピュリズムを正しく理解せよ】

さて、再び立ち返りますと、ポピュリズムってそもそも何なのでしょうか?まあざっくりと、大衆からの人気取りに専念しているようなイメージがありますが、過激な右派及び差はというイメージもあります

しかし一ついえるのは、私たちは決してポピュリストの言うことを全て鵜呑みにしてはいけないということです。ポピュリストと位置づけられている人たちは、結局エリート主義、エリート層の政策にはあれこれいちゃもんをつけたがります。しかし、彼らの全ての政策が間違っているわけではなく、どの政策も、国民に受け入れられる可能性、否定される可能性があるのです。「ポピュリスト」とその他エリート層という短絡的なわけ方は当然間違っています。

そしてもう一つ、彼らのナショナリズムの中に、国民というのはどのように定義づけられているのかが曖昧です。排他思想で一つの国に一つの民族、という文句を掲げるなら、例えばフランス人は誰がフランス人で誰がその他なのでしょう?アメリカなんてもっと複雑です。「偉大なアメリカを再び」と語りますが、その偉大なアメリカには、白人しか含まれないのでしょうか?日系アメリカ人は再び偉大なアメリカにすることに、一切貢献できないのでしょうか?その辺のところが非常に曖昧だし、気分でどの民族を排斥するのかが決まっているようにすら思えます。

この誌面でよく「本物の人民」という言葉が使われています。それでは、「本当の人民」をどう定義づけるのか、それも疑問です。これは、ポピュリストが生み出した言葉だそうで、「本物の人民」という考え方を受け入れない人は、その国にとって必要ではない、と見做されるそうです。わけわかりませんね・・・私なんて国籍が日本で、生まれも育ちも日本ですが、強烈に日本人であるアイデンティティを感じているわけでもない、でも日本人なんです。こういう中途半端な考え方は、ポピュリストたちは許せないでしょうね。日本人なら日本人の未来を誰よりも考える政治家を支持すべきだし、その考え方に反するものを徹底的に糾弾せよ、というのです。本当におかしい。

ポピュリストの言うことは、過激だけど刺激的で未来を明るく演出しているようにすら見えてくるのだと思います。既成の政治に辟易した人たちが、新しい価値観を必要としている。だから、ポピュリストが、愛国心を振りかざしてあちこちで登場しているのだと思います。しかし、そうすれば世界は後退していくでしょう。そのリスクが予想以上に高いということを、私たちは理解していないといけません。

 

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【ヘイトクライムの多発が難民を脅かす】

ポピュリストは私たちを分断しようと躍起になっていますが、その結果がコレです。彼らは人々の憎悪をあおり、犯罪に駆り立てています。

ドイツ当局の発表では、昨年難民の住む避難所や収容所などをターゲットにした犯罪は3,500件も発生したそうです。中東からやっとの思いでたどり着いたドイツで、今度は犯罪被害者になってしまっている。それもこれも、極右がドイツ国民の憎悪を煽るからです。メルケル首相は人道的見地から、難民を積極的に受け入れてきました。しかし、それがタダのきれいごとに見えてきた、それくらいドイツの財政難が深刻な状態なのでしょう。

難民危機のピークは2015年夏だといわれていますが、その頃ネオナチの地方議員が難民避難所に放火をし、8年の実刑を食らいました。この手の犯罪は今も繰り返されているし、極右の活動は国の治安を悪くするに他ならないと私は思います。

 

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以上、今回はポピュリズムにのみ焦点を当てました。

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