Newsweek 4.4号

今回のNewsweekメイン特集は・・・ついに出た、マリヌ・ルペン!!「フランス 極右の正体」と題したこの特集では、ルペンが何故フランス国民の心を捉えるのかを詳細にレポートしています。私はこの政治家が大嫌いで、自分のフランス人の彼に「フランスは今ルペンがいるから大変だね」と同情したことは何度もあります。彼もまたリベラリストで、ルペンのような極端な政治は大嫌い。人々がもっと寛容であるべきだと唱えるのですが・・・その寛容さのツケが、テロやイスラム教徒の異常な増加に繋がっていると考えるフランス人が多くいるのは事実で、ルペンは彼らの心を巧みに捉えています。

今度のフランス大統領選で彼女が勝つとは到底思えない。しかし、選挙の結果に関係なく、彼女の影響力は選挙後も残るであろうと多くの人は見ています

そういえば、オランダのウィルダース率いる自由党は、選挙で思うように票が伸びずに惨敗したようですね。

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この結果がフランス大統領選にどう影響するかも興味深いです。追って記事をきちんと読んでいきたいと思います。

 

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【アクセル全開のトランプ オバマケアを打ち破れず】

吠えていますね、トランプ氏。このたびオバマ大統領が創設した「オバマケア」を白紙に戻し、彼自身が提示する代替案を議会で通そうとしたところを自身の共和党から反対され、代替案を撤回することになりました

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そもそも、代替案は大幅な財政赤字を削減するというのが目玉でした。しかしその代替案を改めて検証してまとめてみると、赤字削減額が当初の発表3,365億ドルから、修正版では1,503億ドルへ縮小することがわかりました。つまり、思うように赤字削減ができないということなのです。赤字削減を最大の目玉にしていた共和党としては、これ以上代替案を押し通すべきではないという結論にならざるを得ません。

オバマケアによって保険加入者が劇的に増えただけではなく、財政を逼迫したことは否めないのでしょう。それでも、トランプが中身のある政策を掲げていないことがこれでまた明らかになってしまった、といわざるをえません。引き続きオバマケアを実施していくというのは、賢明な選択だと思います。

 

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【危機に瀕する大河にインドが「人格」を与えた】

崇高な決断だと思います。インドのガンジス河に対し、裁判所は「法的人格と付随する権利、義務、責任を有する生きた存在」であるという判決を下しました。つまり、ガンジス河は法的人格を有する生きた存在であり、保護されるべき対象である、ということです。

インド人にとって、ガンジス河は生活と切り離せない存在であり、また聖なる存在でもあります。人々は川にゴミや汚物を捨て、遺体を「水葬」により流しています。その一方で、インド人はガンジス河の水で体を清めている。不衛生極まりないこのガンジス河を何とかしなければ、と危機感を募らせるのは当然だと思います。むしろ、今まで何一つ対策が講じられなかったのが不思議なくらいです。

しかし、私はガンジス河にゴミを捨てていた人が今後どこにゴミを捨てるようになるのかはわからない。ひょっとしたら、不法投棄などで新たな問題が発生するかもしれません。また、水葬というのは、非常に聖なる儀式であり、ガンジス河で水葬ができない遺体は今後どのような運命を辿るかもわかりません。実は今後の対策についてはまださほど論じられていないので、目先だけの判決で終わらないことを祈ります。

これからどんどん川が浄化され、ガンジス河がきれいな水をたたえるようになれば、どんなに素晴らしいことでしょうか。新たな取り組みが成功することを期待しています。

 

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【サイバー強奪の背後に北朝鮮が】

ついに北朝鮮の金欠もここまできたか・・・先日ニューヨークにあるバングラディシュ中央銀行の口座から大金が盗み出されました。その後調査した結果、そのお金が北朝鮮に流入した、という見解が明るみになりました。NSAが公式に認めたわけではなく、あくまでそのようなことを「におわせた」だけ。しかし、ハッカーの痕跡を辿ると、北朝鮮による幾つもの痕跡が確認されたようです。盗まれた金額はおよそ8100万ドル。これは尋常ではありません。

北朝鮮は、核やミサイルの開発に益々闘志を燃やしている一方で、諸外国からは経済制裁を受け、援助は徐々に受けにくくなっています。コストカットの努力をしないくせに「援助しろ」というのは無理な話です。当然北朝鮮が今金銭的に苦しくなっているはずなのです。そして、北朝鮮は後進国であるにも関わらず、自衛手段についてはきわめて洗練されています。だから、怖い。私たちもネットバンクなどを使うときには、本当に注意しなければなりませんね。

 

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【ロシア独自の愛国教育は戦いとともに】

迷彩服を着た子供たちの険しい顔立ちが・・・怖い。彼らは「戦争キャンプ」というものに参加しています。ロシア全土から子供たちが集まってくるのですが、参加費は無料。国としては、愛国教育に対する投資目的で子供たちを集めているのでしょう。

このキャンプでは、子供たちがガチで匍匐前進し、銃を扱い、戦争のための技術をくまなく学んでいる様子が見てとれます。時折笑顔を見せる子たち、戦争体験のカリキュラムは、子供が楽しめるようになっているのかも知れない。もしそうであれば、案外この手のキャンプに子供を参加させたい親なんて沢山いるのかも知れません。

日本には徴兵制もないし、軍人になりたかったら、自衛隊になるか、海外で傭兵になるしかありません。でも日本でもかつて軍人の思想にありましたよね。「全てはお国のため」とか、過度な愛国心を胸に秘めないと戦争なんてできない。そしてそれはロシアの同じで、戦争に子供たちをなれさせることが、未来の軍人を作るだけでなく、愛国教育にも繋がっています

2015年、ロシア政府は「ロシア市民愛国教育2016-2020」というものを提示し、今後10年で、愛国心のある若者を8%、軍人を10%増やすとしています。軍人を増やす指標があるのは理解できますが、「愛国心のある若者を8%増やす」というのは・・・どうやって結果を集計するのでしょう?( ̄∇ ̄;)=З 意味がわからないと思いつつ、ロシアという国では、愛国教育がいかに大事なのかを思い知らされます。

私の父方のルーツはロシアなので、ロシアについてはしばしば考えさせられるんですよね。ロシアという国は、高圧的でカリスマ性のあるプーチンがいて、彼は凄く人気が高い。国家元首を信頼できるっていうのはいいことです。しかしその一方で、失業率は高く、愛国教育という名で国から洗脳され、窮屈そうでもあります。きっと思想統制をしないと、ああいう国ではやっていけないのだろうな、と。そういう枠組みの外で暮らしている私は平和で幸せだと思うんですけど、国から洗脳され、戦争を使命だと思う人たちには、平和ボケした私らのことなんて眼中にないでしょう。

国が違うと物事を見る価値観が180度変わってくる。ただ、私は今の視点で世界を見て、戦争で戦い抜くことが大事だと教えられることより、対話で物事を解決していく進歩的な考え方を貫ける国にいられてよかったと思っています。私にとって、軍事大国というのは、やはり脅威です。

 

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【SPECIAL REPORT】

4月にいよいよフランスの大統領選があります。その中で、勿論世界中から注目を浴びているのは、国民戦線のマリーヌ・ルペンです。ルペンは父親が国民戦線の創始者で、娘がその地位を磐石なものにしたという印象がありますが、果たしてルペン親子の野望は、どこまで続くのでしょうか?

【「ルペン大統領」誕生の意外な公算】

今までの政治はエリートたちのものでした。確かに、私にもエリートでなければ政治なんてできないだろうという思い込みはあります。しかし今という時代、エリートたちが築き上げてきた社会に辟易した人たちが溢れかえっているような印象です。だから、アメリカで優等生のクリントンではなく暴れん坊のトランプが勝利したとき、手放しで喜んだ人たちが大勢いたという事実も理解できます。勿論、今でも納得してはいないけど、従来の政治にうんざりしている、ということだけは理解できます。

そして、彼ら反エリート主義のホープとして登場したのが、マリーヌ・ルペンだと思うのです。結局エリートのしてきたことで、国の治安は脅かされ、仕事は移民に奪われ、長い低迷期に入ってしまった。だから今までとは全く違うタイプの政治家が必要だとフランス国民の多くは考えているのでしょう。抜本的な改革で、移民を排除し、「フランス・ファースト」に戻ることで自分たちが再び豊かな時代を手にすることができる、という思いがある。ルペンは、彼らの心を充分に掌握しています。

フランス大統領選挙は、アメリカなどと違い、2回投票が行われるそうです。1回目で絶対多数の候補者がいればそこで当選確実、いない場合は上位2名が決戦投票で大統領の座を争います。ですから、圧倒的票数を稼げなくても、まず最初の選挙で上位2枚に入ることが最低条件になります。1回目で2位であっても、2回目の投票で逆転する可能性は充分にあるでしょう。今回の大統領選では恐らく1回目の投票で大統領になれる者はいない。ルペンは大統領選には勝利しないだろうと見られていますが、得票率は40%台に達する見込みです。まぁ、今回の選挙も、アメリカの大統領選挙さながらの大逆転が起こる可能性は本当にあると見るべきです。

実は、マリーヌの父、ジャンマリも、かつて大統領の座を決選投票で争ったことがあります。しかしそれは「たまたま」らしい。政治家として未熟で具体的な政策がなかったため、決戦投票では対立候補のジャック・シラクに大敗しました。マリーヌは父が支持層拡大に積極的ではなかったことを間近で見てきており、彼女自身は積極的に国民に語りかけ、支持層拡大に努めました。また父はただ過激なだけの政治家と見做されていましたが、マリーヌがソフト路線を打ち出したこともあり、支持者が増えた。親子の間にはいつしか大きな溝ができ、今では絶縁状態だといいます。

ただ、彼女にも頑固なところがあり、彼女の掲げる政策が必ずしも国民戦線支持者に支持されているわけではないようです。今がチャンスなのに、何故国民の気持ちを掴む政策を打ち出せずにいるのか?それは、彼女が客観的に政策を詰めることができていない、主観が邪魔をしているのではないかと推測されます。

ルペンファミリーは、かつて爆撃を受けたことがあります。当時の父親が激しい右翼活動家だったことで標的にされたようですが、犯人は捕まっていません。そして、家があっという間に損壊したのを間近で見た彼女と政治活動は、そこから切り離せなくなったといいます。激しいトラウマになるような経験・・・そこを原点にして培われた思考は、簡単には変えられないでしょう。そしてルペンファミリーは、爆撃後に支持者らから提供された邸宅に住み、そこを自宅兼オフィスにしてきました。つまり、ルペン一家は家の中に常に政治を持ち込んでいるような感じです。

ルペン一家は極右だったからか、政府からは何のお見舞いの言葉もなく、ルペンはほかの政治家とは違う扱い方をされた、といいます。ですから、マリーヌにしてみれば、政治に対して憎しみがあり、復讐するために現政権を打倒する、という気持ちもあるのかもしれません。いずれにしても、強い信念が、彼女を突き動かしています。だからこそ、彼女は強い。簡単にくじけないし、彼女の努力は必ず報われるでしょう。大統領選に勝てなくても、彼女の影響力は残る、と見る人が多いのです。彼女のことを称える国民が沢山いるのも事実、彼女の登場で「救われた」と感じる人が沢山いるのも事実です。国民戦線の支持層は非常に安定しているといわれていますが、それはマリーヌの卓越した当の舵取りがあるからでしょう。

しかし、彼女がどれだけもてはやされ、またどれだけ政治に命をかけたとしても、私はやっぱり彼女のやり方ではフランスが復活するとは思えません。世界はグローバル化の波に逆らえないのです。イスラム教徒に対する差別意識が根底にある限り、また過度な右派的思考を変えない限り、外交で失敗するだろうし、そうしたら経済を立て直すこともできなくなります。

彼女の登場は、結局はフランス国家の政治・経済を脅かしているだけのような気がする。4月の第1回投票をまずは注目したいところです。

【反EUでフランスは世界経済のお荷物に】

もしルペンが大統領選で勝ったらフランス経済はどうなるか?またEU経済は?世界はグローバル経済の時代で、その中でフランスがEUを脱退し、「フレグジット」を実行すれば、グローバル経済から取り残されることになるのは必至です。それは、結果的にフランス経済の未来にとって、決していいものではありません。統一通貨ユーロが使えなくなると、フランスの観光客は激減するでしょうし、フランスのグローバル企業は成長しにくくなります。また、フランスの雇用の10%が、EU地域外への輸出によって支えられています。彼らにもしものことがあれば、フランス経済の打撃にもなるでしょう。

そもそも、EUを軽視すべきではないのです。ルペンはEUがフランスの主権を奪っているかのように言いますが、実際にEUは共同体であり、そこから外れれば共同体であることによるメリットは受けられなくなります。それを軽視し、あくまで自国にこだわるのなら、フランスはただただ孤立していくだけです。ともすれば、東欧の片田舎のように、フランスは西ヨーロッパにおける美しい小国に過ぎない、という扱いになってしまいます

冷静に考えると、EU脱退にはあまりメリットがないようなのです。それでも、ルペンは感情的なまでにEUを批判し、国粋主義の原則に従っているように見えます。単なる過激な右翼政治家、に成り下がるのも、そう遠い未来ではないはずです。残念ながら、EUを脱退するメリットは、思った以上に少ないのです。

【ルペンは新しいドゴールなのか】

ドゴール主義というのをご存知でしょうか?

ドゴール主義

ドゴールは生粋の右翼思想の持ち主ですが、第二次大戦後の共和制にあって、もっとも安定した政権を維持しました。ドゴールの時代には、戦後というものがまだ色濃く残っている。そんな中で、「フランスはフランス人のものだ」という主張は、シンプルで誰にでも理解でき、そして国民を納得させる主張だったと思います。

そして、今ルペンが「第二のドゴール」とも言われていますが、確かにその主張内容は酷似していますよそ者=移民、難民を徹底的に排除し、奔放なグローバリストたちを嫌悪する。ルペンは脱EUを目指し、再び「フランスはフランス人のもの」という主張を繰り返していますが、さて、その言葉は本当に世の中を変えるのでしょうか?

時代錯誤だ、というのが結論です。ドゴールの時代と現代とは、何もかもが違うのです。今は、グローバル化がキーワードになっている時代であり、そこから逆流すれば、世界から置いてきぼりにされます。ノスタルジックな政治をやっても、前に進めない。

それでも、ルペンの単純でわかりやすい言葉は、人々の心を捉え続けています。一つ彼女が成功したことは、右翼というイメージをソフトなものにしたことです。右翼はどの国でも過激な活動をする集団であり、現にマリーヌの父、ジャンマリ・ルペン時代には右翼は気の狂った思想とまで言われていました。それが、娘マリーヌから発せられる言葉には、過激な活動家の過激な思想、という印象がない。そして、現存の政治に辟易している人たちが、彼女の言葉に飛びつく。本当に彼女は理想的な形で右翼思想を国民に浸透させたのだと思います。

それでも、世界から取り残されていく危険性はぬぐえない。やはり、彼女のやり方を現代でやるには、限界があるのだと思います。

 

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【最低支持率トランプは「知性がある」?】

ここにもう、ポピュリストを国の大統領に選んで後悔している人たちがいます。アメリカ国民です。このたびの調査で、トランプを信頼している人が極めて少ないことがわかりました。

トランプ大統領は・・・

  • 強い人である 66%
  • 知性がある 59%
  • 自分と価値観を共有する 35%
  • 誠実である 35%

政治で最も大切な「自分と価値観を共有する」の項目で35%は、稀に見る低い数字です。皮肉にも個人的な資質、「強い人である」「知性がある」の項目では50%を上回っていますが・・・それでも、これらの数字は、彼がいかに国民に信頼されていないかを示すものだと思います。

ポピュリストを支持し、後悔する・・・これからのヨーロッパでこういうことは頻繁に起こりそうです。既存の政治に辟易している人たちは、そう簡単に今ポピュリストが発する言葉に不信感を持たないと思いますが、何だか時間の問題のような気がします。

 

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以上、Newsweek4.4号でした。

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